杉本龍彦が独立して設計事務所を始めた理由

こんにちは!

杉本龍彦建築設計の杉本です。

 

今回は私、杉本龍彦がなぜ独立して設計事務所を始めたのかお話ししたいと思います。

 

育ったのは豊かな自然環境

私が育った自然環境は、東京都とは思えないほど豊かなものでした。

春には桜並木が花のトンネルを形成し、秋にはイチョウが黄金色の絨毯をつくりだします。雑木林にはトンボやセミ、チョウをはじめ多くの生き物がいました。湧水が出る公園にはザリガニやカルガモがいましたし、近くの川では泳ぐこともできました。泥だらけになるまで遊べる田んぼや畑もありました。小さなころの私の記憶は自然の中でひたすら遊んだことでした。

富士山をはじめとする山々も望め、近所の森、川からは四季の美しい移り変わりで、命の芽吹きや生命の循環を感じながら生活していました。冬は陽射しが家の奥まで入り込んで暖かかったので暖房は不要でした。夏は軒が日射を遮蔽してくれるうえに風通しもよいためエアコンも使いませんでした。自然に包まれ、恵みを感じながら日々を暮らしていました。

 

引っ越しで激変した自然環境と心境

そんな生活は都心への引っ越しを機に一変します。

高密度のビル群、にぎやかな繁華街は刺激的でしたが楽しくもあり、忙しかったため環境が激変したことを自覚していませんでした。

しかし部屋には一年を通じて陽が差し込まず、中廊下式の集合住宅のため風も抜けません。窓の外には隣のマンションの壁が迫り、多様な表情を見せてくれる山や森や木々は見えなくなりました。冬はエアコンの利きが弱くて電気毛布無しでは寝られないほど寒く、夏はエアコンなしではいられませんでした。生き物の姿もそれまでのようには見られなくなりました。自然と距離が離れて、気が付けば暮らしに息苦しさを感じるようになっていきました。

 

それまで当たり前のように存在していたものが無くなったことで、自然と建築の重要性に気づかされたのです。

 

自然と人と建築への疑問が学びの意欲に

建築を志したころから、自然とはなにか、自然とどう関わるか、自然と人と建築の関係はどうあるべきかといった想いを持ち続けていました。その疑問や課題を解決するために、世界を視野に入れて日本を自然、歴史、建築の観点からとらえなおしていきました。やがて書見や国内外の旅行、調査などを通して、日本の自然と建築の素晴らしさ、奥深さを再認識するようになります。同時に自然と人と建築のつながりを見つめなおすと、環境問題が近年一層高まっていることに、より危機感を覚えるようになります。

都市の生活は私自身とても便利だと思いますし、恩恵を受けています。しかし今のままのペースで自然資源を使い続けることは難しいものです。また人工的な環境や人工的な素材は人体に好ましくない反応を与えることもあります。

 

自然への想いが仕事につながる

もっと地球環境の負荷を減らし、持続可能な形で資源を循環させ、人の身体にも優しい世界が必要なのではないか。

私は建築設計という仕事であれば、その実現に大きく貢献できると考えました。

 

建築するにあたって、特に重視したい点は3つです。

 

一つめは循環できる自然資源である木で建築をつくることです。木は二酸化炭素を吸収してくれるばかりか、人体に良い影響を与える成分が含まれています。日本は古来より森林が豊かだったため、木で建築をつくる技術・文化は世界の中でも最高水準です。同じく自然素材の漆喰や珪藻土も用いれば、調湿や空気清浄効果はさらに高まります。これらを活かさないのはまさにもったいないと思いました。

二つめは自然環境や風土に適した形です。屋根の軒を伸ばせば、日本の特徴でもある多雨から建物を守り、夏季の日射を遮蔽して室内の温度上昇を抑えます。窓を適所に適切な形でしっかりと設ければ、冬は有効に陽射しを採りこみ、夏には風通しの良い快適な室内環境をつくれます。自然の恵みをうまく活かし、あるいはいなす建築の形は、エネルギーの過多な使用を抑制し、二酸化炭素排出も削減できることにつながります。

 

三つめは依頼主のご要望をじっくりとお聞かせいただき、敷地の条件や工期、予算に合わせて答えをつくるお手伝いをさせていただくことです。設計事務所という存在がまだまだ認知されていないがゆえに、希望があるにも関わらず答えが見つからずに妥協、あきらめてしまうことが多いように感じます。設計事務所はありとあらゆるアイディアや方法で、その依頼主にとってだけの答えをつくれる存在であるべきだと考えています。

 

2016年、自らの想いを自ら形にするために建築設計事務所として独立。

 

自然と調和する木の建築を提案する設計事務所として、日々仕事に取組んでいます。

 

住宅を主軸に商業施設、福祉施設などの設計も展開しています。設計以外にも書籍の執筆やセミナーの講師などにも携わり、建築の魅力や面白さをわかりやすく伝える仕事を心がけています。ホームページでも仕事の情報発信を始めました。

 

これからも多くの方々に喜んでいただけるよう、少しでも社会に貢献できるよう、精一杯仕事させていただければと思っています。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

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